BINDIVIDUAL Compilation EP『BVBV』Special interview【BAUKHA】前編
6月23日に表参道WALL&WALLにてコミュニティレーベルBINDIVIDUALの企画イベント『BVBV』が約6年ぶりに行われる。
それに伴うコンピレーションEPがデジタルリリースされ、今回シングル「Ribbon」で楽曲参加したBAUKHAの4人にインタビューを行ない、BAUKHA改名の経緯〜由来、楽曲制作、ライブ演出、グッズ制作のこだわり、また今回の企画イベントについても話を伺った。
それに伴うコンピレーションEPがデジタルリリースされ、今回シングル「Ribbon」で楽曲参加したBAUKHAの4人にインタビューを行ない、BAUKHA改名の経緯〜由来、楽曲制作、ライブ演出、グッズ制作のこだわり、また今回の企画イベントについても話を伺った。
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- 2023年にHOPIからBAUKHAへ改名されましたが、改名された経緯や”BAUKHA”の由来を教えてください。
- Junya Kishino(以下J) “HOPI”はスピリチュアルなインディアンのホピ族からとっていて、宇宙の真理を信仰してる部族なんですけど、音楽のコンセプトとしても「真理と繋がりたい」みたいなところから使ってて。
ただ音楽的に “HOPI”という言葉に囚われてる部分がちょっとあった。
他にも”HOPI”という他文化の名前を使うことについてもどうなのかな、という意見がおのっちからあって。
活動再開するにあたって改名して心機一転でやっていこう、みたいのが経緯でした。
Ryuichi Ono(以下R) そうですね。HOPIって名前で活動してた時にSpotifyとかApple MusicでHOPIっていう名前で活動しているアーティストが他の国にもいて、ランキングに間違って入ることがあったんですよ。
J ホピ族の音楽と一緒に並べられたりしてたもんね(笑)
R しかも日本だと文化盗用ってそこまでうるさくないですけど、結構アメリカとかヨーロッパではうるさいし、検索でダブってしまうのはちょっと、、、。
僕らは知名度があまりないので余計にやめた方がいいなってところで改名を推した経緯があって。
名前の由来はスピリチュアルな要素は捨てたくなかったので、バウって響きが犬が吠えてる感じがするのとそういう神様がいるってことで良いねとなり、自分がHOPIのイメージが”蛾”とか”蝶”のイメージがあったんで”羽化”とかいいんじゃないかってことで繋げて”BAUKHA”になった感じですね。
- バウと羽化でバウカですね!
- R そうですね。文字の方は被らない文字組と、ちょっとドイツ語っぽくてかっこよくない?っていう理由で宮尾さんと一緒に「良いじゃん」ってなった記憶がありますね。
- 実際改名してから何か変わりましたか?
- R 個人的に被らないので探しやすくて嬉しいなって。
まあただそんなにファンが増えてる現状でもないので、「多分書きづらいんだろうなみんな」ぐらいな気持ちでいる(笑)
J そのタイミングでBAUKHAとして「BAUKHA」っていうアルバムを出して、自分的には馴染んだな。
ただHOPIの曲もBAUKHAのアルバムの方にアレンジして入れたりしてるので、改名して音楽的にめっちゃ変わったとかはないです。
とはいえ、元々HOPIで知ってくれてた人とかが意外と気づいてくれてないみたいなことはまだ今もあるのかなとは思います。
あとBAUKHAに決める時に、おのっちが「シュールレアリスムとか音楽性に合うよね」みたいなことを言ってて。
僕もそういったものとかが元々好きで、その精神性的にもしっくりくるなってところがあった。
R このバンドのクリエイティブの共通点ってその辺もあるかな、みたいな。
J 改名したことでHOPIの宗教的でスピリチュアルなイメージから、よりクリエイティブなところにフォーカスできるようになった気がします。
R あんまり引っ張られなくなった感じ。
J 宮尾とかも確かHOPIっていうところに歌詞が引っ張られるとか言ってた気がする。
Yo Miyao(以下Y) 描くイメージがアメリカンインディアンの土地の風景にはどうしてもなってしまう(笑)
R そういった意味では名前って強いですもんね。イメージが引っ張られちゃう。
J 割と現実的な問題で変えたっていう感じです(笑)
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- レーベルのコンピレーションという初の試みですが、今作の「Ribbon」はどのようなコンセプト、イメージで制作されましたか?
- J 今回、BoboiとSEDANというかっこいい仲間たちと一緒に曲を並べるってなった時に、他の2組がどんな曲を出してくるかな、みたいなところを考えました。
たぶんBoboiやSEDANはこういう雰囲気なんじゃないか、このコード進行だったら、このキーだったらこういう展開なんじゃないかとかを想像した上で、そこにBAUKHAが入ってどういう流れを出せるか、みたいなことを考えて作りました。
これまでのBAUKHAの曲は、色彩豊かなイメージで作ってるんですけど、今回はモノクロチックで”抑制が効いた”イメージです。いつもみたいに、わーってなったりするんじゃなくて淡々とした感じをイメージしました。
そうした方がEPとしてしっくりくるんじゃないかなと。
- Black BoboiやSEDANの雰囲気を想像してから作り始めたという感じですか?
- J 今回に関してはそうですね。
せっかく3組で出すならどういう感じがいいかな、みたいなところを考えました。
- 今回だけ作り方が違うという部分も含めて、制作する上で心がけたことや大変だったことはありますか?
- J トラックについては、BPMとキーの制約っていうところが最初にあって、まあSEDANはズレてたけど(笑)
今回のBPMとキーは実は”We are the world”に合わせてるんですけど、最初デモを作った時はWe are the worldをゴリゴリにサンプリングして、そこから削っていきながら良いところを残して整えていきました。
ただ、いつもだと展開や色を足していくっていう作業をしていくんですが今回はトーンを抑えた状態で淡々と進む感じで作るのが難しかった。
うちらの場合、メロディラインはトラック完成後に宮尾が作るんですけど、宮尾がめちゃくちゃに暴れられないように、暴れる必要がないような感じで「ここが一番盛り上がりますよ」みたいなパートがないまま淡々とトラックが終わっていく、みたいな感じに仕上げるのは注意しました。
- 確かに今回、爆発みたいなイメージの曲ではないなというのを感じました。
こだわったことや聴きどころがあれば教えてください。 - Y 基本いつも「こうやって作ってこうなったよ」って説明付きでトラックを投げてもらって、純也さんの意向を汲もうと一応思っているんですけど「今回の曲は淡々とだな」と思いながらも私は”ロボットアニメの主題歌”みたいなイメージを第一印象で感じていて。
「淡々となんだよな」って思って練ってたんですけど、BINDIVIDUALのグループラインでうてなちゃんに「ロボみがあるね」って言われて「やっぱりそうだよね!ロボみに自信持っていいんだ」って思って”ロボットアニメの主題歌をBAUKHAがやる”ってコンセプトを勝手に掲げて(笑)
ただ、抑制が効いた感じをどうやって出せるかと思った時に、ギリギリ我慢してますってところまでしかいけない”Zガンダム”みたいな世界観で。
すごく暗いガンダムのシリーズなんですけど、救いのない曲とかストーリーも救いもないみたいな、ハッピードッカーンみたいにならないロボアニメの主題歌を目指して(笑)
抑制を効かせることがあんまりないから、できるだけ上下に動かないとか、でもロボみは出したいからちょっとは動く、みたいなところを珍しく工夫したところではある。
走ってるスピード感で、でも遅くて、でも速いような気もして弾けきらない、みたいなところでずっと最後までいくっていうのをちゃんと出来た。
ギリギリを攻めて暗いまま終われた、みたいなことが出来た、最後のサビが1番聴きどころかなと私は思ってます。
J メロディーの抑揚よりもシンプルなラインにコーラスが重なっていって徐々に重厚感が増していくみたいな。
最後のサビもやたらハイトーンでバーンとかじゃなくて綺麗なハーモニーで仕上がっていくみたいな感じが好きです。
あとは僕のこだわりとしてはうねうねしてるビートです。
音量がいきなり上下したりモジュレーションがかかったり、それで生き物みたいな感じが出せたなっていうのがあって。
トラック自体はシンプルなんですけど、蠢いてる感じが”静かなんだけど煮えたぎってる”みたいな感じを出せたのが聴いて欲しいポイントですね。
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- 初っ端1曲目ということもあって今までと全然違うテイストの曲だったら、レーベルのイメージにも影響するものがあるのかなと思ったのですが、聴いた時に「これは1曲目で正解だな!」と思うようなBAUKHAらしさを感じました。
ぽんたさん(Shimpei Watanabe)はどう思いますか? - Shimpei Watanabe(以下S) 好きな感じですね(笑)
今までで1番かっこいいね、みたいな感じでやってるから今回もそういう感じで。
ソリットだしシックな感じもあるし好きです。90年代のUKみたいな感じで。
J そう。僕この曲に関してはすごくUK意識してます。
S やっぱ90年代のワープとかあの感じのね!
J あとポーティスヘッドみたいなトリップホップの感じとか。あとレディオヘッドが大好きなんで、UKの電子音楽の暗さみたいなモノトーンな感じとかが凄い出せたかなって思った。
S 結構パーカッションとかベースとかがあってモジュレートしてる”うねり”みたいな感じがかっこよく聴こえるようにミックスはやってみたつもりだったけど、あんまり広がりすぎないような感じっていうか。
若干昔の感じみたいなのがかっこいいかなと思ってやってみました。
J そうそう、そんな感じです。
Y めっちゃ仲良し!
- 共通認識ですね!
- S あえてコンピの中に入れるからどうとかZガンダム感とかは考えてないです。まず俺ガンダムとか全然わかんないし(笑)
音に関していうと昔から三者がいうイメージが意外と共通しているのが興味深いところだなと思いますね。
J 確かに。
S 俺は作曲の部分には関わってないけどイメージはこういう感じだよな、みたいなのがあんまり毎回外れないっていうのがまた面白いっていうか。
- デモを持ってきて話をすり合わせる前にイメージが合ってる、みたいなことはよくあるんですか?
- J どうだろう。結果的には。
Y 結果答え合わせするみたいな。
J 最初渡したデモと最終の仕上がりが全然違うからね(笑)
S 俺が結構最初によくやるのは、純也からトラックのデモがいくつか上がってきた時に「なんか俺これ聴いてこういうイメージだったかも」みたいなレファレンスをボーンって渡したりして、それが純也がハマって消化して変えてくる時もあるし、全然刺さんない時も結構ある。
その繰り返しでやってる感じはあるよね。
J 特にビートは手癖でやっちゃうところもあるので、ぽんちゃんが送ってくれたのを多少消化はしてるかもしれない。
S 「こういうイメージでやろうぜ」みたいなのでスタートすることってあんまりないよね。
俺らはSlackでやりとりしてるんだけど、その中に「これかっこよかった!」みたいなのを言い合うチャンネルとかがあって。
そこに結構ちゃんおのとか俺がバンって「これ良い」と思うものを言う。そういうことはやるけど「今回こういうイメージで」みたいのはない。
話し合ってもそんなに実現しないよね(笑)
- 全 (笑)
- Y 私が全リセットするからだよ(笑)
S だから面白いんだよ。
質問に関していうと、そういうことを全くやってないとは言わないけど、それが実際に具体的に落とし込まれるかどうかって言われると大体そうじゃないって感じだよね。
Y 工程として純也さんが「こうだよ」って最初に投げてくれたのを私が聴くだけ聴くけど、一旦忘れて”身体の動くままに”みたいに毎回やっちゃうから。
J わりかし無視するよね(笑)
Y ”出るもんしか出ません”みたいな(笑)
J 色々言ってもらったりするけど結局最終的に出るものしか出せませんみたいなタイプなので。
S そうだね。
J たまたま「次こういうのやりたいね」とかは合ったりする時があるよね。
この前もぽんちゃんがたまたまギターリフとかが多めの参考音源送ってきて、僕もたまたまその時にギターリフものをやりたいと思ってたり。
そういう風にタイミングが合ったり、気持ち的には方向性に合ったものを作ろうとしてるけど結局できるものしかできないので全然違うものになってる感じ。
Y 気持ちは寄り添おうと思ってる(笑)
S 大体「こういうこと言ったな」とかも全くもって忘れてるから。
J 絶対忘れてる(笑)
S 純也とちゃんようだけじゃなくて、ちゃんおのと俺もそうっちゃそうだからね。
結構本当に勝手なものだけぶつけ合ってるけど成り立ってる感はこのバンドのいいところだと思う。俺も純也から色々「こういう感じでMIXして」ってバーって書かれるんだけど大体やってるうちに忘れるっていう。
J 忘れてるよね!(笑)
Y 喧嘩するの?(笑)
S 喧嘩はしないんだけど(笑)前はそれで何回もやり直しとかがあったから俺がもう無理だわ、ってなって大体質感だけ作ったら「あとは純也やって」って渡すのが最近のスタイル。
J 俺の仕事量すごい増えてる。
S まあしょうがないよね(笑)
Y 気になる人がやるスタイル。
S その代わり早めに仕事するようにはしてるけど。
J 早いよね!
S 最近結構DJのところで遊びに来てくれる友達とか10個くらい年下のミュージシャンが増えたけど作り方のスタイルとか話すと「そんな破茶滅茶な作り方してるんですね」みたいなこと言われる(笑)
結構変わってると思うけど。
Y 分業制だし1番各々の力量でカバーできてる団体ではあるような気がする。
S 確かに、それはそうかもね。
- 初っ端1曲目ということもあって今までと全然違うテイストの曲だったら、レーベルのイメージにも影響するものがあるのかなと思ったのですが、聴いた時に「これは1曲目で正解だな!」と思うようなBAUKHAらしさを感じました。
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- おのさんはライブの時に流している映像にこだわりや工夫はありますか?
- R 結構演出まわりはうるさく口出してる気がしてて、仕事柄メジャーなアーティストのライブ演出をやることが多いんですけど、そこで溜まるノウハウがあって。
映像制作スキルだとか、大きい会場だとこういうのが映える、みたいな。
いかんせん僕らは小規模な箱が多いのでその小規模な箱ならではで出来ることを入れつつ違う現場で得られたノウハウを組み合わせたりしています。
- サブスクだとおのさんの映像は見られないわけじゃないですか。
映像はライブを観に来た方の想像力がさらに広がってイメージが伝わりやすくなる1個の材料になっている気がします。 - R ビジュアルがある事によって入口を広げられてたら嬉しいですね。今後はさらにビジュアルと連携した音をライブならではで入れてみたいなと思ってます。
- BAUKHA
- 2015年結成しHOPIとして活動。
2019年にBINDIVIDUALよりEP “FACE” をリリース、FUJI ROCK FESTIVAL ’19 ROOKIE A GO-GO出演。
2023年、BAUKHAとして活動再開、1stアルバムをリリース。
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M1「Ribbon」- BAUKHA
- 『BVBV by BINDIVIDUAL』
日時:2024年6月23日(日) OPEN & START 17:00
会場:東京・表参道 WALL&WALL
料金:ADV. ¥3,500 / DOOR ¥4,000 (各1D代別途)
出演:
[LIVE]
Black Boboi
BAUKHA
TEJINA Nya
[DJs]
Akie
midori yamada (the hatch)
YELLOWUHURU
atashi yamanonaka
Makoto
Shimpei Watanabe
[FOOD]
TAKOBAR
・チケット
一般発売(ZAIKO):https://wallwall.zaiko.io/item/363974
4月25日(木)18:00〜6月22日(土)23:59
■公演詳細:http://wallwall.tokyo/schedule/20240623_bindividual/